修繕費と資本的支出の基本
固定資産を使用している途中で、その固定資産の破損や腐蝕に対して修理を加えたり、又は改良等を行う場合があります。
これが固定資産の維持管理や原状回復のために要したと認められるような単なる修繕であれば、その費用は全額が「修繕費」として支出時に損金となります。
ただし、使用可能期間が延びるような改良等に要した費用は、「資本的支出」として一時の損金には認められず、新たな固定資産の取得価額として又は既存の固定資産の取得価額に加算しなければならないのです(
法令55)。つまり、支出時に、全額が損金算入できるというわけではなく、支出後の数期間で減価償却により損金となるということです。
資本的支出の基本
固定資産の修理、改良等のために支出した金額は、支出時に損金算入が認められる
修繕費と、減価償却の方法により損金となる
資本的支出に区分されます。なお、修繕費になるか、または、資本的支出となるかの判定は修繕費、改良費などの名目によって判断するのではなく、その実質によって判定します。
法人が修理、改良等のために支出した費用が、修繕費であるか資本的支出であるかを判定するのは、実務上かなり困難な問題であるので、法人税法では、次の部分に対応する金額が資本的支出であると定めています(
法令132)。
@その固定資産の使用可能期間を延長させる部分
Aその固定資産の価額を増加させる部分
この場合、@とAのいずれにも該当するときには、その多い方の金額が資本的支出となります。
資本的支出の計算
@固定資産の使用可能期間を延長させる部分に対応する金額及びA価額を増加させる部分に対応する金額は、次の算式により計算します。そして、@Aどちらか多い方の金額が、資本的支出となります。
(例)
通常の管理、修理をしていた場合の現在
時価1,300,000円、残存使用可能期間10年
修繕費1,200,000円
修繕後
修理直後の時価1,800,000円、使用可能期間15年
(答)
@ 「使用可能期間を延長させる部分に対応する金額」は、
1,200,000円 × (15年−10年)/15年= 400,000円であり、
A 「価額を増加させる部分に対応する金額」は、
1,800,000円 ‐ 1,300,000円 = 500,000円です。
よって、そのいずれか多い方の金額である500,000円が資本的支出の額となり、残額700,000円が修繕費となります。
資本的支出の例示
例えば、次のような支出は原則として修繕費にはならず資本的支出となります(
法基通7−8−1)。
(1) 建物の避難階段の取付けなど、物理的に付け加えた部分の金額
(2) 用途変更のための模様替えなど、改造や改装に直接要した金額
(3) 機械の部分品を特に品質や性能の高いものに取り替えた場合で、その取替えの金額のうち通常の取替えの金額を超える部分の金額
(4)建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たる。
修繕費と資本的支出の実務
上記で説明したことが、修繕費と資本的支出の基本となります。ただし、実際、修繕費と資本的支出の区分計算は困難なことが多いです。そのため、実務上は通達により簡便な形式基準による取り扱いを認めています。詳しくは、
修繕費と資本的支出の実務まで。