会計上のリース取引
会計上の「リース取引」とは、特定の物件の所有者たる貸手(レッサー)が、当該物件の借手(レッシー)に対し、合意された期間(以下「リース期間」という。)にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手は、合意された使用料(以下「リース料」という。)を貸手に支払う取引をいいます(「リース取引に関する会計基準」4項)。以下は、借手側について説明します。
「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」
(ファイナンス・リース取引)
「ファイナンス・リース取引」は、(1)中途解約不能と(2)フルペイアウトという要件を満たしているリース取引をいいます。
(1)中途解約不能
リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引
(2)フルペイアウト
借手が、当該契約に基づき使用する物件(以下「リース物件」という。)からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引
(ファイナンス・リース取引の分類)
ファイナンス・リース取引は、リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に移転すると認められるもの(以下「所有権移転ファイナンス・リース取引」という。)と、それ以外の取引(以下「所有権移転外ファイナンス・リース取引」という。)に分類します。
(オペレーティング・リース取引)
「オペレーティング・リース取引」とは、ファイナンス・リース取引以外のリース取引をいいます。
リース取引の会計処理
(ファイナンス・リース取引)
1 ファイナンス・リース取引については、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行います。
借手は、リース取引開始日に、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により、リース物件とこれに係る債務をリース資産及びリース債務として計上します。リース資産及びリース債務の計上額を算定するにあたっては、原則として、リース契約締結時に合意されたリース料総額からこれに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除する方法によります。当該利息相当額については、原則として、リース期間にわたり利息法により配分します。
2 所有権移転ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定します。また、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、原則として、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定します。
(オペレーティング・リース取引)
オペレーティング・リース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行います。
所有権移転外ファイナンス・リース取引の簡便的な取扱い
個々のリース資産に重要性が乏しいと認められる場合は、オペレーティング・リース取引の会計処理に準じて、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができます(リース取引に関する会計基準の適用指針34)。
個々のリース資産に重要性が乏しいと認められる場合とは、次の(1)から(3)のいずれかを満たす場合とします。
(1)リース料総額が購入時の費用処理に係る基準額以下のリース取引
重要性が乏しい減価償却資産について、購入時に費用処理する方法が採用されている場合で、リース料総額が当該基準額以下のリース取引
税法の基準に合わせている企業の場合は、1単位当たり10万円未満を費用処理としているでしょう。ただし、リース料総額にはリース物件の取得価額のほかに利息相当額が含まれているため、その基準額は当該企業が減価償却資産の処理について採用している基準額より利息相当額だけ高めに設定することができます。また、この基準額は、通常取引される単位ごとに適用されるため、リース契約に複数の単位のリース物件が含まれる場合は、当該契約に含まれる物件の単位ごとに適用できます。
(2)リース期間が1年以内のリース取引
リース期間が1年以内の短期リース取引については、1年以内に取引が完結するため、あえて売買処理を義務づける必要はないと考えられるからです。
(3)1契約当たり300万円以下の少額リース資産
企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリース取引で、リース契約1件当たりのリース料総額(維持管理費用相当額又は通常の保守等の役務提供相当額のリース料総額に占める割合が重要な場合には、その合理的見積額を除くことができる。)が300万円以下のリース取引
なお、(3)の場合、1つのリース契約に科目の異なる有形固定資産又は無形固定資産が含まれている場合は、異なる科目ごとに、その合計金額により判定することができるものとします。ただし、300万円以下のリース取引であれば良いのではなく、企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリース取引である必要があります。
(1)「リース料総額が購入時の費用処理に係る基準額以下のリース取引」、(2)「リース期間1年以内の短期リース取引」に比べますと(3)「1契約当たり300万円以下の少額リース資産の取扱い」は利用しやすいでしょう。
所有権移転ファイナンス・リース取引の簡便的な取扱い
所有権移転ファイナンス・リース取引も、個々のリース資産に重要性が乏しいと認められる場合は、オペレーティング・リース取引の会計処理に準じて、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができます。しかし、「1契約当たり300万円以下の少額リース資産の取扱い」は認められず、「リース料総額が購入時の費用処理に係る基準額以下のリース取引」と「リース期間1年以内の短期リース取引」の2つについてしか賃貸借処理が認められません(上記の所有権移転外ファイナンス・リース取引の簡便的な取扱い参照)。
ですから、所有権移転ファイナンス・リース取引で、簡便的な取扱いができるケースは少ないと思います。
ファイナンス・リース取引の表示
リース資産については、原則として、有形固定資産、無形固定資産の別に、一括してリース資産として表示します。ただし、有形固定資産又は無形固定資産に属する各科目に含めることもできます。
リース債務については、貸借対照表日後1年以内に支払の期限が到来するものは流動負債に属するものとし、貸借対照表日後1年を超えて支払の期限が到来するものは固定負債に属するものとします。
リース取引の注記
(ファイナンス・リース取引)
リース資産について、その内容(主な資産の種類等)及び減価償却の方法を注記します。ただし、重要性が乏しい場合には、当該注記を要しません。
(オペレーティング・リース取引)
オペレーティング・リース取引のうち解約不能のものに係る未経過リース料は、貸借対照表日後1 年以内のリース期間に係るものと、貸借対照表日後1
年を超えるリース期間に係るものとに区分して注記します。ただし、重要性が乏しい場合には、当該注記を要しません。
まとめ
| リース取引 |
会計処理 |
| 当初 |
その後 |
ファイナンス
・リース取引 |
所有権移転 |
売買取引 |
法人が選定している
減価償却方法 |
| 所有権移転外 |
売買取引 |
リース期間定額法 |
オペレーティング
・リース取引 |
賃貸借取引 |
ファイナンス・リース取引の簡便的な取扱いの場合、賃貸借取引