相当の地代
法人が
借地権の設定により他人に土地を使用させる場合、通常、権利金を収受する慣行があるにもかかわらず権利金を収受しないときには、原則として、
権利金の認定課税が行われます。しかし、権利金の収受に代えて
相当の地代を収受しているときは、権利金の認定課税は行われません(
法令137)。その取引は正常な取引条件でなされたものとして取り扱われます。
相当の地代の額
相当の地代の額は、原則として、その土地の更地価額のおおむね年6パーセント程度の金額です(
法基通13−1−2、
平元3直法2−2)。相当の地代の額は、一般的に取引されている地代の価格水準よりも高額になることが多いです。地代のほかに権利金の一部を分割で支払っていることになるように設定されているからです。
なお、土地の更地価額とは、その土地の通常取引されると認められる価額(時価)をいいますが、課税上弊害がない限り次の金額によることも認められます。
(1)その土地の近くにある類似した土地の公示価格などから合理的に計算した価額
(2)その土地の相続税評価額又はその評価額の過去3年間の平均額
例
(Q)土地の更地価額(時価5,000万円、相続税評価額4,000万円)
この土地における相当の地代の額は?
(A)4,000万円×6%=年240万円
相当の地代に満たない地代を収受している場合
(1)「
土地の無償返還に関する届出書」を提出していない場合
通常収受すべき権利金を収受せず、かつ、相当の地代の額に満たない額の地代のみしか収受していないときは、原則として権利金の認定課税が行われることになります(法基通13−1−3)。
この場合、次の算式により計算した金額から実際に収受している権利金の額及び特別の経済的利益の額を控除した金額を借地人に対して贈与(当該借地人が当該法人の役員又は使用人である場合には、給与とする。)したものになります。

上記算式中の「土地の更地価額」は、通常取引されると認められる価額(時価)ですが、国税局は、土地の相続税評価額はその年1月1日における通常取引されると認められる土地の価額の80%相当額であると公表しています。ですから、その年1月1日から土地を使用させるまでの間における地価に変動がないと認められる場合には、相続税評価額を0.8で割り戻した金額を土地の更地の価額とする簡便法を採用することも認められると思います。
(2)「土地の無償返還に関する届出書」を提出している場合
収受する地代の額が相当の地代の額に満たないときであっても、「土地の無償返還に関する届出書」を提出している場合は、上記にかかわらず、相当の地代の額から実際に収受している地代の額を控除した金額を借地人に贈与したものとして取扱うことができます(法基通13−1−7)。
例
(Q)土地の更地価額(時価5,000万円、相続税評価額4,000万円)
相当の地代240万円(年)、実際に収受している地代180万円(年)、権利金0円の場合
この場合における贈与の額は?
(A)
(1)「土地の無償返還に関する届出書」を提出していない場合
5,000万円×(1−180万円/240万円)=1,250万円が権利金として認定され、贈与したとされる金額
(2)「土地の無償返還に関する届出書」を提出している場合
240万円−180万円=年60万円の贈与があったものとして取扱われます。
相当の地代の改訂
権利金の収受に代えて相当の地代を収受する場合には、契約書でその後の地代の改訂方法を定めるとともに、「相当の地代の改訂方法に関する届出書」を借地人と連名で土地所有者の納税地を所轄する税務署長に提出することが必要です(法基通13−1−8)。
なお、「相当の地代の改訂方法に関する届出書」を提出した場合の改訂方法は、次のいずれかの方法によります。
(1)土地の価額の値上がりに応じて、その収受する地代の額を相当の地代の額に改訂する方法
この改訂は、おおむね3年以下の期間ごとに行う必要があります。
(2)それ以外の方法(据え置き)
なお、届出がされない場合は、(2)の方法を選択したものとして取り扱われます。
相当の地代の引き下げ
相当の地代を引き下げたときは、その引き下げたことについて「相当の理由」がない場合には、権利金の認定課税が行なわれます(法基通13−1−4 )。
「相当の理由」とは、地代を引き下げる代わりに権利金を授受することにした場合のほか、地価が下落した場合がこれに該当すると考えられます。
なお、このような場合であっても、引き下げた後における額が、相当の地代に該当する必要があります。それを超えて地代の引下げを行なった場合には、認定課税が行なわれます。